日記(20.10.14)

少しずつ寒くなってきてうれしい。私は冬が好きだ。寒さがつくる単純な幸福みたいなものが、冬の生活の中にはいくつもあるから。毛布にくるまること、温かな飲み物を飲むこと、煮込み料理を作ること、贈り物をすること。(冬は四季の中でいちばん贈り物が似合…

あこがれ

その昔、私の二段ベッドへのあこがれは強烈だった。 それは大抵の姉妹・兄弟のいる家にあって、私は見るたび舞い上がった。古くても新しくても、白い木でも茶色い木でも関係なく。わくわくして、どきどきして、しまいにはうっとりしていた。どの家でも、上の…

昨日から今日にかけての雑記

家出 昨日、なんとなく寂しい気持ちになって夕方ごろ家を飛び出した。 べつに飛び出さなくたって私の家には私を引き止める人など誰もいないのだけど、ぐずぐずしていると私が私を引き止めかねない(引き止めて家にこもってもあんまり良いことはない)から と…

寝かせる

何かを寝かせるのが好きだ。 何を寝かせるのも好きだけど、とっぷりとまるまった生地なんかは特段いとおしい。 寝かせている生地は、本当に「寝ている」としか形容し得ないと思う。 ぴっとりとラップにくるまれて、あるいはボウルの中に閉じ込められて、でも…

11月30日をもちまして

去年の暮れ、近所の喫茶店が閉店した。 何のコンセプトも感じられない極めて標準的な店内、インテリアもBGMもメニューも価格も全てが可もなく不可もない、けれども(おそらく冷凍か何かの)カツサンドはけっこう美味しい、土曜日が定休の近所の喫茶店。 11月…

母とバニラエッセンス

専業主婦の母は、主婦の中でもよくキッチンに立っていた方ではないかと思う。決してせかせかと働くタイプでも 部屋をピカピカに保つ人でもなかった(むしろ父より私より物を散らかしていた)ように思うけど、生活においてとても細やかな感性を持っている人だ。…